「ヒューゴの不思議な発明」


14日はTOHOシネマズデー(十・フォー?)ということで、有楽座に「ヒューゴの不思議な発明」を観に行って来た。
朝の初回に行ったが、チケット売り場にはすでに列が。1000円+3D観賞料金、3Dメガネ持ち込みで1300円で観れてお得。
「巨匠マーティン・スコセッシが初の3D作品を!」ということで話題になっていたが、自分はスコセッシ監督の作品をほとんど観てないので、特に思い入れもない。「タクシードライバーの監督だったんだ、へえ。」という程度。
ただ、アカデミー賞で技術的な部門を独占したという前評判も高く、ストーリーの詳細は知らなかったが、過去の映画作品に対するリスペクトが詰まっていると聞いて、わりと期待していた。
後で知ったが、これ原作があったのだね。ブライアン・セルズニックの冒険ファンタジー小説だそうだが、このあたりで、昨年観たスピルバーグ監督の「タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密」との関連を想起した。
ネタバレになるが、登場するジョルジュ・メリエスという人物も実在したらしい。現代のいわゆる特殊撮影を駆使した映画の元祖ともいえる存在で、これはハリウッド映画からフランスの先人への敬意を表しているのだそうだ。そういう意味で最新技術を駆使してわざわざ3D作品にしていたのか。
こういうことを知っていたら、もう少し入り込んで観れたのかなあ…。
実は自分にはこの作品、まったく心に響かなかった。かなり期待ハズレ
映画愛がテーマなのはよくわかるし、作り手の思い入れが強く込められているのも伝わってくる。しかしそんなことを抜きに、単純にストーリーがつまらないのだ。
ヒューゴの不思議な発明」という邦題だが、主人公のヒューゴ自身が何か発明するわけではない。父親が遺した機械人形を修理しようとしているだけ。
その父親との思い出も通り一遍にささっと回想されるだけなので、父親を失ってどれほど悲しんでいるかが伝わらず、いまいちヒューゴ少年に感情移入できない。
そうかと思うと、3Dで作り込んだ部分を見せたいのか、駅構内を走り回るシーンなどを何度も見せたり、さほど重要でもない図書館のシーンに時間を割いたりする。
そもそもなんかリズムがかったるくて、退屈。悪役の警官も最初からマヌケな人として登場しているので、敵キャラとして弱い。なのに、彼に捕まって孤児院送りにされる他の少年のエピソードなんか出て来て、彼を助けるのかと思ったら、そのままほったらかし。ドラマとしても熱が帯びてこない。
大したことは起こらないのに、起こることはすごくご都合主義的で、あまり葛藤もないし、やっぱりこれは演出が良くないのではと思わざるをえないなあ。
世界最初の映画と言われる、駅に汽車が入ってくるシーンのオマージュをやりたいのはわかるが、それなら今の3D技術を使えば、最初に映画というものを観た最初の人たちと同じように、思わず逃げ出してしまいそうになるくらい、列車がこっちに飛び出してくるのかと期待したが、そういう感じでもなかった。
他にも、映画黎明期のいろんな作品へのオマージュが散りばめられているのだろうが、それがやりたいがために、時計台から落ちそうになったり、「月世界旅行」の場面を再現したり、無声映画的なやりとりがあったりというのが、「いろいろひと通りやりました」っていうだけに終わったような気がしてしまうのは、自分が映画に対する愛情が少ないからか。
とりあえず、昔からの映画ファンならともかく、誰もが感動するような作品ではなかったと思う。

ユゴーの不思議な発明

ユゴーの不思議な発明

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