「ジャンゴ 繋がれざる者」


クエンティン・タランティーノ監督・脚本の「ジャンゴ 繋がれざる者」をレイトショーで観た。
たまむすび」で町山智浩氏が紹介されていたのを聴いた時から公開を楽しみにしていたのだが、今週の「シネマハスラー」の賽の目映画に決まったことで、公開早々に観に行くことにした。
なにげにタランティーノ作品を映画館で観るのは「パルプ・フィクション」以来で、嫌いなはずはないのだが結構遠ざかっていた。
その一番の理由は、上映時間が長い!ということ。150分超えるとなかなか躊躇してしまって、「イングロリアス・バスターズ」も「ジャッキー・ブラウン」も未見。
今作も165分なのでちょっとひるんだが、幸い自宅の近所で、仕事帰りのちょうどいい時間帯に始まり、次の日が休みというベストのタイミングで観ることができた。
ジャンゴを演じるのは、ジェイミー・フォックス。個人的には「キングダム/見えざる敵」を観て、カッコいいタフガイの印象が残っていた。意外にとぼけた表情も味があっていい。ウィル・スミスにならなくてよかったのでは?
この作品では、ディカプリオの極悪人っぷりが話題になっていたが、その今回のラスボスはなかなか現れず、前半はクリストフ・ヴァルツ演じるドクター・シュルツに救われたジャンゴが、二人で賞金稼ぎの旅を続けながら、絆を強めて行く過程が描かれる。
ちょっと気障だが内に秘めた正義感の強いシュルツと師弟のような関係を築きながら、成長していくジャンゴ…。ハードボイルドっぽくもあって、タランティーノにしては抑制がきいているな…と思ってると、やっぱりバイオレンスのシーンでは、その唐突さで驚かせ、そのやり過ぎ度合いで困惑させる。
悪趣味ギリギリ…というかほとんどアウトな表現が多いのだが、単なる下品な作品にならないのは、やはり脚本と構成の巧みさによって完成度がグッと上がるからなのか。
そのあたりのタランティーノの手腕を信頼しているからか、役者陣が皆、遊び心満載のこの作品に、喜んで出演している雰囲気も伝わってくるようだ。意外なキャスティングのようで、実はみんなハマっていて、それぞれ見せ場があって楽しかった。
相変わらずの強烈な存在感だが、ディカプリオの執事役のサミュエル・L・ジャクソンがずいぶんおじいちゃんになっていた(そういう役作り?)のと、意外なところで現れた、「スーパーバッド 童貞ウォーズ」のジョナ・ヒルが大人になってちょっと痩せていたのにもビックリ。
細かいところがわかればわかるほど楽しめる作りになっているのだろう。町山さんの解説を聞いて、元ネタを確認したりして観直したりしたら、またさらに面白いのだろうなあ。
結局、165分が全然冗長に感じず、十分に楽しめた。
これ手放しで盛り上がっていいのかな?…という若干の罪悪感は残ったが、実は最高に痛快なラストでもあった(笑)。

Django Unchained

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