「スプリング・ブレイカーズ」


火曜はシネマライズがサービスデーなので、ハーモニー・コリン監督の「スプリング・ブレイカーズ」を観に行った。
ハーモニー・コリン監督作は「ガンモ」とか観たはずだが、なんとなくの印象しか残っていない。なんかカラフルでファンタジックな映像を撮る人、と漠然と把握。
予告編を観て、ミュージックビデオのような映像のキャッチーさと、青春大爆発のガールズムービーだということで、これは流行りそうだなと思った。
個人的に大好きなタイプの作品というわけではなさそうだったが、音楽も良いので、少なくとも退屈はしないだろうと、わりとハードル低めに設定して観たのだったが。
いや、普通に面白かった。ストーリーどうこうという作品ではないが、極彩色でマジカルな映像は強く印象に残る。それが「その瞬間がすべて!」という刹那的な青春ムービーとして、ばっちりハマっている。
破滅的な青春を描いてはいるが、確かに主演の女の子たちがみなピカピカに輝いているのだ。
ビキニ姿の女の子の乱痴気騒ぎを延々と見せられても、楽しさが伝わるというより、不穏な空気しか感じないのだが、それがいい緊張感となって、その後の展開まで興味が持続した。
(彼女たちを危険な道へ誘い込むワルそうな男…どっかで観たと思ったら『127時間』のジェームズ・フランコ君じゃないか。なんか腕切断しそうで怖いわ!)
ラストには賛否両論分かれるだろうが、「私たちずっと友達よね!」的な、いかにもガールズムービーなところに着地しなかったので、個人的にはほっとした。
(ちょっとネタバレかも)最後のあたりは北野武映画を彷彿させ、観終わって後味苦い感じもたけし映画っぽい。
その場の感情や勢いにまかせて自分を見失うことの危うさと、刹那的な生き方の虚しさはこの作品に通底している。かといって、この作品から教訓など得なくてもいいんだがね。
「うわ、ヤバいヤバい…こんなこと…確かに楽しそうだけど、後のこと考えると絶対恐い…」と思って、憧れはあっても現実にこんな行動には出れない小心者の我々の夢をちょっと叶えてくれるようでもあり、でもここまで破滅的なライフは望んじゃいないんだと言い聞かせたりもして、こんな心の揺れ動きを体験できるのは、この映画の魅力だと思う。
個人的には、もうすっかり若くない自分を再確認することになり、楽しそうにはしゃぐ彼女たちの姿を観て、「うわ〜、危なっかしいな〜」とヒヤヒヤしながら観ていたところもあり、「だけど、今この瞬間がすべて!と思う彼女たちを誰が責められようか」とか庇いたくなる気持ちも大いにあって、すっかりお父さん目線になっているのが、哀しくもあった(笑)。