「『LE KEMONO INTOXIQUE』全曲試聴会」

TBSラジオ「菊地成孔の粋な夜電波」第118回放送は、菊地先生のプロデュースでフルアルバム「LE KEMONO INTOXIQUE(ル・ケモノ・アントクシーク)」を9月18日にリリースする、「けもの」というユニットの青羊さんと、エアプレーン・レーベルのベーアーこと阿部淳氏をゲストに迎えての、アルバム全曲試聴会。
音楽が最高なのはもちろんのこと、爆笑の制作秘話も盛りだくさんで、充実の内容でした。
いきなり変人扱いされて戸惑う青羊さんの様子に喜びながら、気心しれたベーアーとの会話が弾んだアルバム制作裏話の一部を文字起こししてみました。

菊地 …もっかい最初から言うと、ここも複雑なんですけど、「青羊(あめ)」さんっていう名前自体が芸名ですよね。
青羊 そうですね。
菊地 本名はね…、まあまあ…みんな知ってるんだけど。
ベーアー はい。
菊地 まず「青い羊」って書いて「あめ」さんって読むんですけど、これが芸名なところに持ってきて、その青羊さんが一人でやってるユニットが「けもの」っていうことですよね。
青羊 はい。
菊地 だから…二重芸名ですよね。
青羊 そうですね。
菊地 分かりずらいっちゃあ、ありゃしないですよね(笑)。
青羊 そうですね(笑)。すごい分かりづらいと思います、はい。
菊地 「みんな分かりづらいだろうな〜」ってのは、青羊さん、思ってるんですか?
青羊 思ってます。
菊地 うっすら。
青羊 はい。
ベーアー (笑)。
菊地 分かりづらいんだけど、どうしようと思ってるんですか?
青羊 …「けもの」ですね。「青羊」は、まあ…あんまり…どうでもいい…。
ベーアー ええ〜っ!?
菊地 「けもの」の方が大きいんだ。
青羊 そうですね。
菊地 なるほど。「けもの」がユニット名ね。
青羊 はい。
ベーアー 芸名「けもの」にしようって、一瞬…言ってたよね?
青羊 それでもいいかな?って思ったんですけど、でも「けものちゃん」とか呼ばれると、ちょっと方向性が若干違ってくる…(笑)。
菊地 …ちょっとね、ちょっとオカシイ人はみんな、ちゃんと方向性とか考えてるもんなんだよね。
ベーアー そうですね。
菊地 一見さ、考えてなさそうじゃない。
ベーアー うんうん。
菊地 考えてるんですよ、大体。ワタシの知る限り。
ベーアー うん。
菊地 ワタシね…倉地久美夫さんっていう、やっぱりかなりのアウトサイダーだと思うんですけど、…と音楽やってるんですけど、そっくりなの、青羊さんが。
ベーアー ああ〜…。
菊地 うん、「女の倉地くん」って感じなんだよね。ここら辺は音楽マニアじゃないと分かんないですけど。
ベーアー うーん。
菊地 で、まあ…演奏はですね…とはいえ、「けもの」は一人ユニットで、作詞作曲、青羊さんなさってるんですけど、演奏がまた…ね?
ベーアー はい。
菊地 ここはレーベルの関係者から、売り文句をひとつ。
ベーアー 売り文句?…はい、もうここ…バックの参加ミュージシャン達は、ほんとにジャズ界の…
菊地 日本ジャズ界のね。
ベーアー 日本ジャズ界のですね、中堅…前ですね、三十前後ぐらいだから、まだ若手ですね。
菊地 アンダー30でしょ。
ベーアー はい。…のチームの、もう一番イケてる連中がですね、後ろを固めてまして。
菊地 え〜…アルバムに参加してるのが、ピアノが石田衛(まもる)さん。
ベーアー 石田衛さんです。
菊地 ベースが…これもスゴイんだけど(笑)…ベースが二人参加してんだよね。
ベーアー はい。
菊地 で、曲によってはツインベースなんだよね。
ベーアー そうなんですよ。
青羊 (笑)。
菊地 もう、わけわかんない。青羊さん、何がしたいのか(笑)。
ベーアー うん。
菊地 ツインベース…一人が織原良次くんっていうね。
ベーアー 織原くん。
青羊 はい。
菊地 で、もう一人がね、トオイダイスケくん。
ベーアー はい、トオイダイスケくん。
菊地 非常に素晴らしい。あの…ま、一般的にはね、ポップフィールドじゃないんで、ジャズベースなのであれですけども、ジャズ界の中では「あいつらヤバイよね?」っていうメンツが結集してます。
ベーアー そうですね、はい。
菊地 ドラムがですね、柵木(ませき)くんと、石若駿。
ベーアー 石若駿!
菊地 この二人も…石若くんに至っては幾つだ?
ベーアー 21ですね。
菊地 ヤバイよね?
ベーアー ヤバイっす。
菊地 …今、ジャズ界ではとにかく、天才っつったら石若駿と、石若くんと同級生の…
ベーアー 寺久保エレナさん。
菊地 寺久保エレナさんね、こないだワタシ、野音で一緒に演奏しましたけどね。
ベーアー ああ、そうでしたね〜。
菊地 といったような、錚々たるアンダー30のジャズミュージシャン達がバックを務めていて。
ベーアー はい。
菊地 で、まあ…ここら辺はライブによって、メンバー代わったり…いろいろあると思うんですけど、今回のアルバムでは今のメンバーで。で、そこにワタシも入ってまして。
ベーアー はい。
菊地 ソプラノサックス、アルトサックス、ヴォーカル、キーボード、トラックメイキングっていうね、大忙しっていうかね。
ベーアー すごいですよね、今作の…。
菊地 しかも今回は、アートワークもさることながら、カメラマンデビューしましたからね!
青羊 (笑)。
ベーアー そうですね。今回のジャケ写を撮ったの菊地さんなんですよね。
菊地 そうですよね(笑)。アートワークとスタイリングやりましたからね。
ベーアー はい。
菊地 靴選び〜の…
ベーアー そうですね(笑)。
菊地 あん時楽しかったですね、買い物行って。
青羊 そうですね〜。
ベーアー 伊勢丹、そしてルミネ。
菊地 そう。ベーアーとオレと青羊さんで。
青羊 はい。
ベーアー そうですね。
菊地 伊勢丹とルミネを回って。
ベーアー 行きましたね。
菊地 「この靴にしましょう、青羊さん!」とか言って(笑)。
青羊 (笑)。
菊地 で、青羊さんがもうすでにワンピース買っててね。
ベーアー あ、そうなんですか。
青羊 はい。
菊地 で、「これ…サングラスで撮りましょう。」っつって、オレの私物のサングラスで。
ベーアー はい。
菊地 まあ、それで…今回のアー写もジャケ写もワタシ撮影しましたね。
ベーアー はい、そうです。
菊地 …まあ、最後にね、「全員スタジオから出てくれ!」っつって。
ベーアー ええ。
菊地 青羊さんにね…あの…オールヌード!(笑)
ベーアー …してましたね!(笑)
青羊 してない、してない!
ベーアー あれ、オールヌードじゃないですか?
青羊 してないです。
菊地 あの1対1のね…立木義浩っていうかね(笑)
ベーアー すごかったですね、あれね。
青羊 いやいやいや…(笑)。
菊地 篠山紀信ナルヤマキシンみたいなね(笑)
ベーアー ナル山紀信!(笑)
菊地 あの、やっぱりね、オールヌードの写真がお蔵になってしまったっていうのがね。
ベーアー 僕、遠巻きにビデオ撮ってたんですけどね。
菊地 (笑)。
ベーアー すいません、盗撮です(笑)。
青羊 (笑)。
菊地 オールヌード、嘘ですよ。全然脱いでないですけど。まあ、それはちょっとね…露出の多い写真は、今回NGになりました。
ベーアー ちょっとお蔵です。
菊地 はい、お蔵ですけどね。…まあ、どんどん聴いていきましょう!
ベーアー はい。
菊地 もう、こういう感じの人なんだってことは伝わったと思いますから、あとは聴いていきゃあいいと思いますけどね。
ベーアー はい(笑)。
青羊 そうですね(笑)。

けもののうた

けもののうた

LE KEMONO INTOXIQUE

LE KEMONO INTOXIQUE

※文字起こしの「NAVERまとめ」あります。