「逆鱗に触れる大谷さんの力。」

「粋な夜電波」第137回はフリースタイル。
AMラジオで初めて耳にする、ジャンルや国籍を問わない自由な選曲と、それをさらに楽しめる蘊蓄や面白エピソードを含めた解説。
前口上を用意せずに楽に進めたこの回にして、このクオリティ。さすがです。
エルメート・パスコアール氏を大谷能生さんが激怒させたという、爆笑エピソードの部分を文字起こししてみました。

My Name Is My Name

My Name Is My Name

はい。ああ…(リミックス)面白かったですね。
「オマエひとりが面白がってんじゃねえか!」っていう(笑)…声がここまで聞こえているような感じがしますが、非常に楽しかったです。
最近やってなかったですからね。どんどんやっていきましょう、今年も。
1時間シリーズの時の、やっぱ楽しみですよね。1時間半シリーズ、2時間…ま、2時間は1回しかなかったですけど、1時間半シリーズ・2時間シリーズになると、コントとかが楽しみになりますけどね。
え〜…コントといえばですね、さっき収録の時に偶然ですけど、江藤愛さんとそこですれ違ったんですよ、パッと。
…そしたら、すごい冷たい感じで(笑)。
こういうところの押し引きはどうしたらいいんですか?
プライベートの男女…いわゆるね、街での男女の色恋といったことの綱引きならば、まあ…そうですね、50も生きてれば、何にも分かんないっていうほどカマトトは言わないですけど、局内での話ですからね。
こういうところの押し引きが全然分かんなかったんですけど。一応顔はニコニコされてたんですけど、「ああ…明けましておめでとうございます。」…向こうも「あけましておめでとうございまーす♡」って言いながら、手をこう…なんていうんですか?…グーパーグーパーグーパーみたいな形で、「バイバーイ…」みたいなまま(笑)、特に何もなくワーッと走り去ってしまったので。
「あ、久しぶりに江藤さんだ…」って近況報告でもし合おうかな〜と思ったら、スカされてしまった。
それでも、ひょっとしたらこれは…こういう人たちいますよね、もしかした…けど〜みたいな(笑)、気があるんじゃないの〜?みたいなね。あんな感じにでもなりかねない雰囲気…そんなこと全然無いんですけど(笑)。
今回こそ、口からでまかせ…ないですね。
…もう秋沢さんいきましょうかねえ。
「この曲、だ〜れだ?」っていうパターンですね、これね。
…ちょっと待ってくださいね。盤を探しております。
はい、というわけで、「これ誰だ?」って話なんですけどね。まあ、かなり通なクイズになっちゃいますから、今日みたいなゆるい日にですね、そんな通な音楽クイズ出してもしょうがないですから、解答先に言っちゃいますけども。
エルメート・パスコアールですね。「怪人」と言われてますね。
マイルスのアルバム「Live-Evil」に入ってることで有名な…っていう紹介も、もうどうか?っていうぐらい単独で、ブラジル音楽マニアを越えた音楽マニアの間で畏怖されている…尊敬されている、そして愛されている人の一人ですけどね。
ワタシ、この人に会ったことあるんですけど…インタビューしたことあるんですけど。
インタビューっていうか、公開番組に来てて、ワタシがインタビュアーになったのね。
で、ワタシがこの人の話聞いてる間は、非常に上機嫌だったんですけど、いい調子で…まあまあ、いろいろ機嫌良くくすぐるような話題で…インタビュアーとして頑張ったんですけどね。
途中から、あの…「ここにいるプレイヤー達と、即興でセッションしてください。」って番組の…もう、番組の人間って必ず余計な事言うから(笑)。その…言っちゃって…ヤバいヤバいと思ったんですけど、演ることになりまして。
で、ワタシと大谷君と、坪口っていう、ワタシとずーっと一緒にバンドやってるキーボードの奴の三人で。楽器なんかちゃんとしたの無いですから。大谷君は自分のサックス持ってて、で、ワタシもなんかちょうど持ってて、坪口はピアニカ持ってて、そいでパスコアールが…あの時何だったっけな?…なんか小ちゃい鳥の笛かなんか持ってて。
「自分の演奏に続け!」っつってね。最初はやる気満々で、「パスコアールとセッションする機会なんか二度と無いぞ!」と思って。
で、「ピヨピヨピヨ…」っつったんで、こっちが「プリプリッ…」って吹いて、そいで坪口が「ファクッ…」ってやって、大谷君が「プッ…」って吹いて、大谷君が吹いた瞬間にパスコアールが激怒してですね(笑)。
何が悪かったのか、いまだに分かんないんですけど。
そういう瞬間ってありますよね。名人が繰り出す…ね、突然「お前ら全員最低だ!」みたいになってですね(笑)。
もう、すごい怒りっぷりでですね。
「もう一回だ!もう一回だ!」って、千本ノックになって。番組が途中から千本ノック番組になってですね(笑)。
あれはですね…まあ、自分の相方にですね、何か悪い事を押し付けるなんて卑劣な真似はするつもりは全く無いんですけど。
でも、いまだに思い出すだに、「ポン・ポン・ポン…大谷!ってなった瞬間にパスコアールがキレたのは間違いないんですよ(笑)。
ほんで二回目も、「もっかいだ!…ピッ…」「プルルルッ…」「パラパラッ…」…大谷「パフッ…」っつったら、パスコアールがまたキレたんですよね(笑)。
だからやっぱ、大谷君は凄い力を持ってるな!っていうね。人の逆鱗に触れるってのも、ひとつの才能ですからね。やっぱ大谷君、サックス凄いな…と思いましたけども。
え〜…まあ、ジャズファン的に…聞けば、これは…ビル・エヴァンス・オーケストラ…「マイルス・アヘッド」のサウンドに、ちょっとブラジル風味がくっ付いて、マイルスが70年代にやりたかったエレクトリック・マイルスのサウンドがなんか…みんなひとつになっているかのような感じがちょっとしますね。
これはエルメート・パスコアールの…非常にプロダクツが多い人なので…「これがファースト」ってのが難しい人でもあるんですけど、実質的なファーストアルバムで、アイアート・モレイラフローラ・プリム…これはおなじみですね、この二人がプロデュースを担当してますが。
とにかくマイルスが…「天才だ。」っつって可愛がってね。ま、アルバム聞くと、いかにマイルスが「Live-Evil」に入れたがったかというのがわかるんですけども。意外と指摘されないのが、この1曲目ですね。「Coalhada」…完全に「Miles Ahead」+ギル・エヴァンス+マイルス…のちのマイルス・サウンドの感じが出てるんで、「さすがマイルス、めざといな!」って感じがします。
今日の秋沢さんタイムを…贅沢ですね。エルメート・パスコアールのファーストアルバムの、しかも1曲目で行いたいと思います。


Brazilian Adventure

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※文字起こしの「NAVERまとめ」あります。