「イタリア映画2本立て。」



早稲田松竹で、「孤独な天使たち」と「眠れる美女」を観た。
先日、「タイピスト!」と「最後のマイ・ウェイ」のフランス映画2本立てを観たので、今度はイタリア映画2本立てを見たろと思って。
そんなに思い入れはないのだが、「ベルトリッチ、10年ぶりの復活作!」とかいわれると、なんかすごい物が観れるんじゃないかと期待した。
観終わった率直な感想は…「うーん…、自分にはイタリア映画は合わないのかな〜?」。
特にこの2作品では、自分勝手で気の強い女性が多く登場するので、単純に観ていて苛々することが多く、なかなか楽しめなかった。
ベルトリッチの「孤独な天使たち」は、自分の殻に閉じこもる14歳の少年の話で、わりと感情移入しやすい話ではあったのだが、自由奔放に生きているように見えた異母姉が見せた弱さに心を揺さぶられて…という狭い空間での数日の経験だけでは、少年が成長する通過儀礼として、ちょっと弱いと感じたし、観客にもあまりカタルシスは無いのではないか。
最後に、顔つきがまるで変わった少年のアップで終わる…というのは、言いたいことは分からんでもないが、ハッとするほどのいい表情だとも思えなかった。自分の世界に入っている時の少年の病んでる感じはリアルで良かったけど。
ベロッキオの「眠れる美女」の方は、実際に起きた尊厳死を巡る事件を扱い、大きな論争を巻き起こした、ちょうどその時の3組の家族を描いた群像劇だった。
登場人物のその日その時のエピソードを並行して語るのはいいのだが、チャカチャカ場面を切り替えられ過ぎて、どの人物にもほとんど感情移入できず、後半は観ていて苦痛になるほど退屈だった。
薬物中毒の苦しみから何度も自殺を図る女性と、それを止める医師のくだりは偽善的にも感じられ、実際にその偽善を「大きなお世話よ!」と拒む女性が、またこれはこれで気の強い生意気な女で、観ていて腹が立つし…とにかく感情の落としどころが見つからず、まったくスッキリしないままで終わった。
両作品とも巨匠と呼ばれる監督が撮った作品らしいのだが、なんだかな〜?…リアリティを感じられず、全然響かなかった。
カソリックの信仰心がベースにあるので、そこを欠いていると理解し難かったのかもしれないが。
あと、ユーモアが足りないような気もした。

孤独な天使たち スペシャル・エディション [DVD]

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