「韓国HIPHOPへの誘い。」

「粋な夜電波」第169回は「第8次韓流最高会議」。
今回から韓東賢さんに加え、新たなメンバーとして「ヴィヴィアンの音楽ヲタブロ。」を開設している、ブロガーのヴィヴィアンさんが参加されました。
より最新のK-POP、K-HIPHOP情報が提供され、音楽の内容についてはもちろん、日韓の文化的な違いなどについての考察も深い、充実の内容となりました。
(※O.A.ではカットされた部分こそがさらに面白い!番組公式Podcastも必聴です。)
番組のトークの一部を文字起こししてみました。

Ailee 1st Mini Album - Invitation (韓国盤)

Ailee 1st Mini Album - Invitation (韓国盤)

菊地 はい、「菊地成孔の粋な夜電波」。ジャズミュージシャンの菊地成孔TBSラジオをキーステーションに全国にお送りしております。
今週は、日本映画大学准教授・社会学者の韓東賢さん、そしてブロガーのヴィヴィアンさんをお迎え致しまして、最新K-POP・K-ミュージックに関して徹底討論します人気企画「韓流最高会議」の第8次ということでですね。
まあ…そうですね、何っつったらいいかな?…番組的にはそうですね…元々ロックが好きだったヴィヴィアンさんが、韓さんもそうなんだけど。ま、ワタシだけですけど、ロックが不感症で、元々ジャズで…
 ロック、フォーク苦手ですよね〜。
菊地 ロック、フォーク苦手。苦手っちゅうか、醍醐味が分からないんですよね、あんまり(笑)。
ヴィヴィアン (笑)。
 私は…ヒップホップは「カッコいいな!」とは思いますけど、分かんない人なんですよね、やっぱし。
菊地 そうですか。
 聞いても違…全部同じに聞こえる…。
菊地 それって、そのジャンルに不感症の人のクリシェですよね。
ヴィヴィアン うん。
 だから菊地さんに、多分前回「韓さんもヒップホップ聴いてください。」って、Primalyとか聞いて、家で流して、「カッコいいな!」と思うけど、全部同じに聞こえるっていう(笑)。
菊地 ジャズが分かんない人は「ジャズって全部同じ…。」って言うんですよね。
 それはもうどうしようも…ないんですかねえ。
菊地 ワタシ、ロックが全部同じに聞こえちゃうんですよ(笑)。ジャジャジャーーン!って。
 だから…すべて聞けるヴィヴィアンさんが羨ましいですよね。
ヴィヴィアン いやいやいや…。
菊地 ヴィヴィアンさん、ジャズも聞くもんね。
ヴィヴィアン そうですね。
 聞いて分からない音楽ってないでしょ。
ヴィヴィアン そんなことないですけど…
 同じに聞こえない音楽…民謡とか?…分かんないけど(笑)。
ヴィヴィアン 民謡は確かに聞かないですね。
菊地 でも、ヒップホップは…むしろ嫌いぐらいだったんでしょ?
ヴィヴィアン むしろ嫌いでしたね。
菊地 それはどうしてなんですか。
ヴィヴィアン やっぱ…
菊地 ヴァイオレンスだったから?
ヴィヴィアン そう。「ウェッサイ!」なイメージですよね。金・女…みたいなので…
菊地 (笑)。
 すごい分かりやすい、でも(笑)。
ヴィヴィアン そう。車乗って…みたいな。で、「YO-YO!」とか言って…。
 汚い言葉使ってね。
ヴィヴィアン 汚い言葉…私イギリスに居たじゃないですか。イギリスの方が言葉、すごいきれいなんですよ。
菊地 はいはい。もちろんそうですね。
ヴィヴィアン で、ヒップホップのイメージだと、黒人の方達がだいぶ崩れたスラングで罵ってるようなイメージがあって…全部イメージなんですけど。
菊地 てか、半分以上本当ですけど、それは(笑)。
 うん。そもそもそういうものであったのは事実ですよね。
ヴィヴィアン 完全食わず嫌いで避けてきて。
 うん。
菊地 何をきっかけに…直ったんですか?
ヴィヴィアン その…だからやっぱり、BIGBANGを聞いてそっから韓国の音楽を掘り下げ始め…
 BIGBANG、偉いですね〜。
菊地 伊達に文化大使とかやってないですよ。
ヴィヴィアン 結構だから入口になってるんですよね、BIGBANGはね。
 確かにBIGBANGから韓国ヒップホップに行く人って、わりと聞きますね。
ヴィヴィアン 多いですよね。
菊地 うん。まあ…これから…そこら辺のダイナミズムが活性化したら面白いなと、今思ってるんですよ。
 うん。
菊地 でも日本はやっぱりね、ま…これも雑な物言いになっちゃいますけど…年々増えて今年はコミケが55万人、二日間で。実際音楽ビジネスやってると分かりますけども、とりあえずアイドルにちょっとでもフックできれば、小銭は稼げるっていうような(笑)。
 うん、うん。
菊地 ワタシ…すごいくるんですよ、オファーが。
ヴィヴィアン へえ〜。
 えっ?…アイドル?
菊地 きます、きます。下手したらK-POPの…っていうのも、まあ…こなくもないんですけど。
 うん。
菊地 一律やんないんですよね。もう、ジャズルーツの人のプロデュースしかしてないんですけど。
 うん、うん。
菊地 仕事の話はともかく、例えば作品を出しますよね、ワタシがワタシの作品を出すと。
 ええ。
菊地 そして、ワタシだけじゃなくて、いろんな人がいろんな作品を出すわけだけど、日本のマーケットはまずロンダリングっていうか、アイドルを聞く耳・審美眼と、マンガを読む審美眼と、アニメの審美眼を通過してから評価されるから…
 うん。
菊地 ダイナミックに、何にも無く…例えばジャズだからジャズの音楽作って、ジャズ村があって、ジャズリスナー…ジャズマーケットがあって、そこにストレートで届いて、いいとか悪いとか言われることもゼロじゃないんですけど、すっごい細いんですよ(笑)。
 うーん。
菊地 で、日本のマスっていうのは、もう…とにかくどんな物でも、マンガの教養とアイドルの教養と…要するにジャパン・クールの教養を濾過して、いいとか悪いとか…それからだから。
 それがなんか…フォーマットっていうか、アティテュードっていうか…
菊地 そうそう、あるの。だから、嫌でも全員そこ通るっていうことが…ま、嫌でもっていうか、別に嫌じゃないですけど、しょうがないですけどね、この国のことですから。
 でも面白いですよね。すごく多様化しているにも関わらず、経路はそれだっていう。すごく多様じゃないですか、日本は。
菊地 アイドルはね…別にワタシ、アイドルが嫌いだとか、アイドルに過集中してるマーケットの傾向に批判を言いたいとかじゃ、全然ないですけどね。
 うん。
菊地 この国のね、世界に誇る…変わった…
ヴィヴィアン うん。
菊地 フランス行ってテレビとか点けたら、アイドルなんて一人も出てこないわけじゃないですか。キャラクターも全然出てこないし。
 (笑)。
菊地 この国だけですよね。天気予報にキャラクターがいて、バラエティーに全部キャラクターがいて…
 すべての物にキャラクターが…八百万の神みたいでね。
ヴィヴィアン (笑)。
菊地 もう…結構な格好したアイドルの方が、どの局にも出てて…っていうのは、この国だけのことで。東南アジア見たって、こんなん無いですよね。
 うん。
菊地 Simon D、聞いてみましょうか。
 あ、そうだ。今のアイドル…でも、数少ない…
ヴィヴィアン そうですよ。数少ない中から、一生懸命考えた結果、これがいいかなと思ったのが、Aileeって…アイドルとは違うんですけど…
 歌姫系?…でも顔もかわいいし、韓国だとギリギリ…アイドルカテゴリーだけど、まあ…歌上手くて…
菊地 どのぐらいの感じですか? 加藤ミリヤさんぐらいの感じですか?
ヴィヴィアン あー、そういう感じかもしれないですね。
 でも、加藤ミリヤより…もっと普通にかわいい…っていうか、男性人気もある感じ…
菊地 それヤバイですね(笑)。
ヴィヴィアン もうちょっと大衆的っていうか…そうそう。一応、なんか「韓国のビヨンセ」って呼ばれてるんですよね。
 うん、そうですそうです。
菊地 あー、鳴りもの入りでね。
 日本デビューも去年したんじゃないかな。
ヴィヴィアン しました。
菊地 してるけど、そんなにドッカン…
 うーん、きてないですよね。
ヴィヴィアン 小規模な感じできてましたよね。そのAileeに…これは2012年ぐらいだったと思うんですけど、フィーチャリングしたSimon Dですね。
菊地 はい。Simon Dはラッパーですけど、Simon D自体もちょっと今風っていうか、細いっていうか…
ヴィヴィアン 芸能人枠です。
 ラッパーの顔じゃない…っていうか、ルックス…ファッションとかも含めてね。
ヴィヴィアン うん、きれいな顔で。
菊地 そうですね。で、こう…ガッチリしてなくて…だけどラッパーだっていう。
ヴィヴィアン 兵役行ってないんですよ。
 やっぱ、そういうことなのかな。
菊地 いや〜…兵役はもう…ワタシだって今から兵役行ったら、すごい身体になって帰ってくると思いますよ(笑)。
 じゃあ、ぜひ(笑)。どっか傭兵として…
菊地 いやいや、行きたくないですよ。
ヴィヴィアン (笑)。


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