「あの二人と邂逅果たした自販機前。」

「粋な夜電波」第212回放送は、先週に引き続き高円寺ロケ。
さらにディープなスポットを巡りながら、高円寺在住時代のいろんな思い出を語られました。
コアファンの間では有名なエピソードだという、「あの二人と邂逅果たした自販機前」からのトーク部分を文字起こししてみました。

歴史は夜作られる [DVD]

歴史は夜作られる [DVD]


じゃあ、ちょっと…これももう、いろんなメディアで喋っちゃった逸話ですけども。
今でこそ、もう…一時期激しくお付き合いがあって、その付き合いも沈静化した…お互い無名時代に邂逅を果たしていた(笑)…その現場である、自動販売機に向かおうと思います。
夏場…なんかですね、喉乾きますね。これは…意外と近くにコンビニが無かったもんですから、自販機をワタシ…頼りにしてました。
で、自販機もですね、やっぱりいろいろありますよね、自販機グルメって言うかね。
あっちの自販機にはこのソーダがある、こっちの自販機にはこのお茶がある…といったような感じで、飲みたい物によって、こっち側のね…こっちって分かんないでしょうけど…こっちの方向…西側にある自販機と、この環七を渡った先にある自販機ってのがあって。
その環七を渡った自販機でしか売ってないドリンクが飲みたい場合は、こう…部屋を出て、すぐ環七ですから…この環七を渡り…。
あ〜、あったあった!…アレだ。
懐かしい!
うわ〜…同じ、変わらない。
日本のね…多くの自販機がそうであるように、ASAHI…とカルピス・コーポレーションの連名の…これこれ!…まさにこれです。
この自販機まで、ワタシは…当時お気に入りだったドリンクを求めて、Tシャツとハーフパンツ、サンダル履きでやって来ました。
このコインランドリーで、ツアーの…その隣にコインランドリー…これも変わってません。健在ですね。このコインランドリーで、ツアー用の下着をまとめて洗濯するというようなこともありました。
まさにこの自販機。この自販機で…今は何だ?…「ドデカミンストロング」、「モンスターエナジー」「カルピスソーダ」「ふっておいしい『カルピスゼリー』」等々…まあちょっと、やや個性的な物がね、売ってるわけですけれども。
当時何が飲みたかったのかねえ…。思い出すとラジオ的に面白いんですけど、忘れちゃったなあ。なんか…ちょっとしたスポーツドリンクが飲みたかったんですよ(笑)。ポカリスエットのパチもんみたいなやつ…の味がけっこう好きで、飲みに来ました。
ところが、そこにはですね、非常に長身な細身の男と、短躯。「タンク」といいうのは戦車じゃありませんよ。背が低いってことですけど。短躯の…非常に殺気立った男が二人でですね、ジュースをなぜか何本も買ってたんですね。
で…記憶が面白く捏造されちゃてると思うんですけど、ワタシの記憶では…ですけどね、現実には実際御本人に訊くしかないんですけど、ま…御本人に訊いても憶えてらっしゃらないと思いますが。
あの…ワタシの記憶では、その二人組は、この…当たりがでますね、この当たりを出すまで買い続けるってことを、二人の中で課してたと思うんですよ。じゃないと、あんなに長い間、何本も買わないと思うんですね。
で、1本買っては…「あ〜っ、当たんなかった!」「でもしょうがねえや、そりゃ。次いこう、次!」…ね。この会話が繰り返されてですね。
どんどんどんどん…ガシャン!…当たらない、ガシャン!…ピピピピピ…当たらない、ガシャン!…ピピピピピ…当たらない…という時間があって。
ワタシはですね、「とにかく早く終わってくれよ!」と。もうここまで来ちゃったんだから…しかも、ここで変えるスポーツドリンクはコンビニに無いんで、「ここで買うしかないんだ!」とばかりに、ま…ここら辺の位置ですね、ここら辺で遠巻きに、その凸凹コンビの会話を聞きながら、見つめていたわけです。
そしたらその二人がですね、「いや〜もう…とにかくね、今日の収録、俺…もうそれがハッキリした!」っつって。ま、ここらへん…長時間のモノマネが続くとボロが出ますんで、モノマネやめますけど。
「長時間の収録…今日でとにかくハッキリしたんだ。」と。何がハッキリしたか?…それは「東京に何人芸人がいるかわからない…が、その中で最も正しく、最も心が美しく、最も男気がある立派な人間は江頭2:50さんだ。」…という会話を、二人が熱い…(笑)、いまだにお二方とも熱いキャラクターですけども、当時はまだお若いですから、熱さに若さが加わってですね、熱若い感じでですね、アツワカ!っていった感じで、熱心に語ってらっしゃったんですね。
で、「そりゃ、間違いない!エガちゃんこそ、男の中の男!」っつってね。
ワタシ当時、江頭2:50さんがどんな芸人さんか、…ほんとに不勉強っていうかね、スノッブ的に聞こえたらアレなんですけど、当時あんまりテレビ観ずに、レコードばっかり聞いて本ばっかり読んでる、で…映画ばっかり行ってる男だったんで。
今はもうすごいですよ。今はもう予約録画の候補番組があり過ぎて、観れずに消してるぐらいですけども(笑)。当時はあんまりテレビのバラエティ観なかったんで。
お二方がまだブレイクスルーする前の芸人であることも、お二方が口にしている江頭…江頭2:50って言ってなかった、「エガちゃんが…」っつったんですけど、「江頭さん」かな?…ちょっと忘れちゃったんですけど、その話題の的である江頭さんという方が、どんな方かも知らずに聞いてたんです。すべては後からわかったんですね。
で…とにかく「江頭さんは男の中の男で、絶対嘘もつかないし、上下の差別もない。」と。「芸人は、もう腐った世界で、ロクな奴がいない。けども、アイツは掃き溜めの鶴だ。一生付いて行くし、俺は自分が芸人を辞めても、彼が芸人を辞めた日がきても、絶対一生友達でいるんだ!」っていう意思表明を、お二人が熱く語りながら、とにかく買っても買っても当たらない…っていう状況が(笑)…続くというシーンを、暗記して。
その時オンタイムでは、「何だったんだろうな、あの二人?」と思いながら、彼らは帰り、ま…結局当たらないまま帰り、ワタシはそのスポーツドリンクを…途中でね、「すいません、ワタシ1本で済むんで、先買わせていただけませんか。」って言って入り込む隙もないくらい、二人の熱気が凄かったんですね。
そいでワタシはほぼ…ワタシの記憶では20分くらい…実際は10分くらいだと思うんですけど、立ちすくんで二人の会話を聞いた後、自分でスポーツドリンクを買い、今と逆コースを辿って部屋に戻って、乾きを潤したんですが。
ま…後々、いろんな情報が入って来て、テレビなんかも観るようになってから、「ああ〜っ、あれは浅草キッドだったんだ!」と。
浅草キッド、その人だった。そして、話題になってた、その…「芸能界一清らかで男気があって、素晴らしい、一生友達でいるんだ。」と言われていた方が、あの江頭2:50さんだということを(笑)…後から知って、いろんな方に飲みの席で、「こんな事があったんだよ。」っていう、いろんなワタシの定番があるんですけどね、…のうちの一個となった、今まさに現場に(笑)…居るわけですけども。
写真撮っときましょうか。
今回取材に来てですね、最後の取材ポイントとして、浅草キッドとの邂逅」の自販機の前で、取材を終えるわけですが。
なんとですね…これはエピローグっていうんですかね。
その自販機が置いてあるのは、これ…ワタシの記憶が確かなら、当時から変わりません。ある中華料理屋さんの横っ腹に置いてあるわけですね。その中華料理屋さんは当時から営業しておりまして、今も変わらず営業しております。
ただワタシはここで食べたことがないんで、スポットとして挙げなかったわけですが。
今チラ見したところですね、とんねるずさんの…最初きたなシュランって言ってたよね。そいでミシュランから抗議がきて、「きたなトラン」に名前が変わった、店は汚いが美味しい店っていう…もうあの企画やってないと思うんですけど。…やってる?…まだ続いてんだ。まだ続いてる企画…人気企画ですね。
そこが(笑)…何年だ?…2012年の7月13日に、石橋貴明さんと観月ありささんが、その企画でこの店に訪れ、二つ半の星を獲っているんですね。2.5星を獲ってる店でございます。
これはもう…言ってしまってもいいでしょうね。何て読むのか…チミ飯店なのかな?…知る味と書きますね。本格中華料理「知味飯店」と出てますが、まあ…きたなトラン」に扱われるに充分な内装(笑)…ですけどね。これはまったくワタシ知りませんでした。
まあ、もう2012年ともなれば、歌舞伎町ですからね。ていうか、この番組始まってますからね。
驚きましたねえ。やっぱり、そういうスポットには、何かがある…というところでしょうか(笑)。
というわけで、まだまだ…やはり10年住んだ街ですから、思い出はまだまだあるんですけども。いくらでもスポットはあるわけですが、ざっと2週にわたって、高円寺を巡ってまいりました。
というわけで、2週にわたってお送りしてまいりました、番組初の…「力道山刺されたる街」、港区赤坂を出まして、「ぶらり二人散歩」ということでですね(笑)。お送りしてまいりました、「90年代プレイバック in 高円寺 〜 全編高円寺ロケ。私、菊地成孔が街を歩きながら、青春の日々を語り尽くします。」という企画、いかがでしたでしょうか。感想などメールで番組まで送っていただけると幸いです。

お探しの店舗のページはありませんでした



キッドのもと

キッドのもと

江頭2:50 つむつむ

江頭2:50 つむつむ