「南部さんに対するリビドーについて。」

「粋な夜電波」第217回放送は久々に深夜0時から生放送。
dCprGのツアーを終えたばかりでクタクタの菊地先生を、サポートしてくれるべく、先生お気に入りのあの女性が緊急ゲストとして出演されました。
生放送なのにセクハラぎりぎりの…大人の男女の会話になったトークの一部を文字起こししてみました。

Head Start

Head Start

菊地 はい、「菊地成孔の粋な夜電波」。え〜…韓国語ではね、アルバイトのことをね、「バイト」じゃなくて「アルバ」って言うんですよ。そらあ、もう…ジェシカ・アルバのね、副業でやってる、子どもの肌にやさしい天然素材でできたオムツ屋さんとかが儲かるわけですよね、菊地成孔です。そして…
南部 南部広美です。「Session22」のアシスタントです(笑)。
菊地 (笑)。
南部 菊地さんが生放送だっていうんで、なかなか最近「ミッドナイト・セッション」にゲストにお越しいただけないんで…
菊地 はい。
南部 「ちょっと…どういうこと?」って言おうかなと思ってスタジオに来たら…
菊地 南部さんに対するセクハラが酷過ぎるってことじゃないですかね。
南部 そんなことないですよ(笑)。
菊地 それで出禁になってるんだと思うんですよね。
南部 あ、そうなんですか?
菊地 はい。
南部 その刺激が無いから、私…ちょっとさみしいんですよね。
菊地 ほんとですか(笑)。
南部 ええ。
菊地 ほんと寂しいですか。
南部 セクハラされてる感覚無いですけどね。
菊地 でしょ?…そんな全然セクハラしてる感覚も無いですよ。セクハラってのはねえ…もっとドス黒い、変な…悪いもんですよ。
南部 ドス黒いって、どういうんですか。
菊地 その…なんかもっと…ドス黒い欲望ですよね、セクハラっていうのは。そっから出るもんですよ。ワタシのはもっとドス白いやつですから(笑)。
南部 「ドス白い」ですか?
菊地 ええ。ドス白い欲望で、本番でとにかく「南部さんとセックスがしたいんだ。」って話を(笑)。
南部 そうそう(笑)。そんなこと言われたの初めてですよ〜。長いラジオ人生。
菊地 まあ、そうですね。ラジオで言われるってことはね…
南部 菊地成孔しかそんなことは…
菊地 ほんとですか。
南部 私には言ってくれないだろう…っていうぐらいの。
菊地 だってプライベートではたくさんの方に…ねえ。
南部 閑古鳥です!
菊地 ほんとですか(笑)。
南部 はい。
菊地 いやあ〜、今日もなんか…目が覚めてきましたね、ほんとに。
南部 ほんとですかぁ(笑)。
菊地 どうしようかな、今日この後、終わったら…って思ってるんですけど。
南部 (笑)。
菊地 まあ…南部さんがスタジオに入ってるのを見て、つい…今日ひとりでやれる自信が無いんで、南部さんに入っていただいたっていう感じなんですけどね。
南部 御邪魔してます、リスナーの皆さん。
菊地 とんでもないっす。

(中略)
菊地 知らない間に、サブがものすごい人数になってて…激ウケしてるんですよ。
南部 そう。
菊地 これもね、やっぱ南部さんの…性的魅力ですよ。
南部 違うと思いまーす!
菊地 いやいや…
南部 それ、違うと思いまーす。なぜならば〜…今まで「Session〜」やっていて、こんな満面の笑みでスタッフがアタシを見つめたことはない!
菊地 いやいや、違いますよ。
南部 ないよ!
菊地 今日初めて、オレの力によって、皆さんが自由になっただけですよ。
南部 あっ、解き放たれた!?
菊地 そうそう。それまでみんなブロックされてただけなんですよ。
南部 えっ…菊地さん、なんか御守りとか作ったほうがいいんじゃない?
菊地 (笑)。
南部 買いますよ、私。
菊地 それもなんかの詐称だと思いますけどね。
南部 (笑)。
菊地 いや、絶対そうだと思いますよ。誰かはっきりストレートに言う奴が出れば、皆さん素直になられるだけで。
南部 本当?…アタシをね、性うんぬん…ってことじゃないけど、スタッフってわりと男性が多いから、そういうふうにまったく見られてないと思う。
菊地 ま、実際みんなそういう目で正直に見始めちゃったら大変なことになるじゃないですか。
南部 確かにね、確かに。そりゃそうだ。
菊地 現場が成り立たなくなっちゃいますからね。
南部 それは仰る通り。
菊地 だから皆さん、ものすごい自制心で、最初からそんなもん無いことにして働いてらっしゃるだけなんですよ。
南部 ほーう。
菊地 ですけど、我々のような芸術家はですね、そういうことがあってはならぬ職業ですから。ブロックが。
南部 ブロック無しで。
菊地 ブロック無しで喋ってるんですよね。

(中略)

菊地 でも、あの…嬉しいです、今は。ほんとに。スタッフの方が、まあ…何て言うか…一回完全に気持ちが外に出て、めったに出したことがない性的リビドーを…笑いとともに…業界人のこういう…誰が流行らしたんでしょうかね、こういうの…明石家さんまさんですかね、「ウケた!」っていう柏手みたいなやつ…あれと笑顔とともに一回放出したんで、今出し終わって疲れ果てた顔になってるんですよね。
南部 (笑)。
菊地 男どもが。
南部 寝たくなる。
菊地 ええ。しかも1・2・3・4・5…6人いますからね。南部さん、今もう…6人斬りした感じですよ、ほんと。
南部 ほんと〜。
菊地 ええ。
南部 人生初だと思う。
菊地 (笑)。ほんとですか。
南部 うーん。
菊地 大丈夫かな、これ…リスナー的に(笑)。
南部 (笑)。
菊地 オレ的には全然オッケーなんですけど。あの…もし問題あったら言って下さいね。もうほんとに…「Session〜」だけの出禁だったらいいんですけど、TBS出禁になった場合ね、番組が終わってしまいますから(笑)。
南部 ああ〜。ま、その心配はいらないんじゃないかな。
菊地 そうですか。
南部 はい。
菊地 でも…結構、スタッフが若い方から中壮年の方まで、いろんな男性いらっしゃるじゃないですか。
南部 はい。
菊地 で、まあ…仕事場って、そういうのを絶対最初からブロックしないとダメなとこですよね。ま、我々の仕事はむしろ逆で…
南部 ふんふん。
菊地 あの…エロい意味じゃなくても、例えば女性と共演したりするでしょ。そうすっと、演奏もそうですし、向こうが歌でこっちが楽器で…っていう呼吸でも、何でもそうなんですけど、女性と同じステージに上がったら、もうそのリビドーみたいなのを、こう…「仕事の現場だからブロックしなきゃいけない。」って思って演奏したら、もうダメなんですよ。
南部 ああ〜。
菊地 外さないといけないの。だから、完全に外して…男同士の時も外してるんですよ、逆に言うと。
南部 ふーん。
菊地 だからめちゃめちゃホモソーシャルな状態になってて。もうギリギリですよね、ほんとに。
南部 じゃ、好きになっちゃったりします?
菊地 危ないな〜って…ほんと、すごい思うんですよ。
南部 はあ〜。じゃあ、なんか…
菊地 演奏が終わると正気に戻りますけどね。
南部 えっ、戻れるんですか?
菊地 戻れます、戻れます。
南部 戻れなくなることってないんですか。
菊地 戻れなくなったら、ま…今頃ここにいないですね、きっと(笑)。
南部 ああ〜。そっか。
菊地 自宅の近所で遊んでると思いますよ。二丁目あたりで。
南部 そこをやっぱりオン・オフ的に、ちゃんと「ハッ!」って素面に戻れるみたいなのが、プロかそうじゃないかの違いなんですか。
菊地 ま、そうですね。すべての音楽家の方がそうかどうかわかんないですけど、少なくともワタシがやってるものは全部そうですね。
南部 うーん。

(中略)

南部 ツアーはどうなんですか?
菊地 ツアーは終わりましたよ。昨日がファイナルで。
南部 はい。
菊地 ま、最後の5分間でツアーの話になっても…あれですけどね。
南部 いや、聞きたいですよ〜。
菊地 いやいや…ほんとに、やりまくりですよ、それこそ。3時間半ですからね。もう…そういう状態がずーっと続くわけですよね。
南部 ふーん。その…ステージ終わった後って…
菊地 はい。
南部 その…何ていうのかな…なかなか熱が冷めないみたいなことってあります?
菊地 あ、そういう人もいます。
南部 興奮して練れないとか。
菊地 そういう人もいます。
南部 菊地さんはないんですか?
菊地 ワタシは…ステージが終わった瞬間に、急に恥ずかしく気まずくなりますね。
南部 ほーう。
菊地 さっきまで…開いてたんで。目も合わせられなくなって、メンバーと。ええ。
南部 あ、そういうもの〜。
菊地 「おつかれ〜。」とか言って(笑)。
南部 で、ひとりでこれを仕舞うわけですか。
菊地 そうです。「ロビー11時半集合ね〜。」とか言って。ほいで…「今日はお疲れ様でした。かんばーい。」とか言って(笑)。
南部 うん、うん。
菊地 ひたすらハイボールを飲んで、「じゃあ、失礼しまーす。」とか、そんな感じですよ。
南部 シューンってなる。
菊地 そうですね。
南部 へえー。
菊地 ま、飲んで盛り上がったら話しますけど。あの…そん時はね、演技してますよね。男同士の友情…みたいな
南部 ああ〜。
菊地 「俺たち仲間だよな!」みたいな。
南部 フリなんだ。
菊地 ま、比較的演技ですよね。
南部 へーえ。
菊地 女性の前…女性といるとね、演技しなくて済むんで、すごい気が楽なんですよ。
南部 ほーう。
菊地 はい。ほんとに。
南部 ほお〜。
菊地 …とか言うと、絶対に「口説いてる」だとか、ま…言葉悪ぃですけど、関東の悪ぃスラングですけど「スケコマシ」みたいなこと言われたりする…全然違うんですよ、ほんとに。
南部 ふんふん。
菊地 小さい頃から女の人ばっかり…うちが歓楽街ですし、ストリップ小屋に出前なんか行くと、全員ストリップ嬢さんで、すごい可愛がられて…。
南部 うん。
菊地 で、それからもうずーっと…。だから、音楽の仕事だけですね、男社会は。でも、それでもね、女性プレイヤーが増えてきたんで。
南部 ああ。
菊地 ええ。だから女性プレイヤーとかのほうが楽ですね。演奏してても。
南部 もう、そのまんまでいいって。菊地さんまんまでいい。
菊地 そうそう。プロデュースなんかやると仕事長くなるじゃないですか。
南部 うん、うん。
菊地 1年とかずーっと一緒に仕事するんですけど、「男とだったら、あんな持たないな、1年間プロデュースすんの…。」とか思いますよね。
南部 居られなくなるってことですか。
菊地 そう…ですね。なんかね…これ、普通の男の子が女の子に抱く感情だと思うんですけど、「嫌われたり、突然キレられたりしたら、どうしよう…。」とかね、思うんですよ。
南部 男性に?
菊地 そう。
南部 ええ〜。
菊地 思うんですよ。ええ。
南部 逆に、同性にそれを感じない感じする。
菊地 女性にそれ思ったことないです。
南部 ふーん。
菊地 「これで嫌われたらどうしよう。」とか。別に嫌ったら嫌ったで構わないし、何でもいいし…。
南部 それは感じる。すっごい感じる。
菊地 そうですよね。
南部 うん。
菊地 だから…そう思ったら、構えちゃうじゃないですか。
南部 うん。
菊地 だから最近やっと分かったんですけど、僕が男性に対して持ってる構えを、男性は女性に対して持ってるんだな…と。
南部 うん。今、すごい理解しました。
菊地 …思いますね、すごく。だから、すごい楽なんですよ。だけど、やっぱ異性だから、結局…化粧品の話とかができないじゃないですか。「あそこのコンシーラーがいいわよ。」とか…なってくと、結局…第三の性のほうに走っててしまうんで。
南部 ふんふんふん。
菊地 それとも違うんですよね。普通に自分として…そっちのほうが楽だっていうだけなんで。相当変わったパーソナリティだな…と思うんですけどね(笑)。

ジェネシス&ジ・オープニング・オブ・ザ・ウェイ

ジェネシス&ジ・オープニング・オブ・ザ・ウェイ