「転調ゲームを終わらせた男。」

「粋な夜電波」第299回は、先週の予告通り「ジャパニーズ・シティ・ポップ和製AOR)」を緊急特集。
「ノンストップ〜」シリーズに近い形式で、いつもより多くの曲がオンエアされました。
時代が変わって、今だからこそ再評価されるべき、高いクオリティの楽曲が紹介されました。
番組後半の曲紹介コメントを文字起こししてみました。

オリエント

オリエント

KANA

KANA

Cologne

Cologne


というわけで、来週2月24日スペシャル・ウィークは、番組300回記念です。
菊地成孔吉田沙良のマンスリーガールフレンドショー。うれしたのし大好きかも」、どうぞお楽しみに〜。
はい、それでは残り時間も少なくなってまいりました。ラストコーナーを回ったというところで、次の曲まいりましょう。
え〜…清野由美さんは、バックにスーパーグループ…「MARIAH(マライア)」、そしてミックス:オノ セイゲンっていうのでね。スーパー…っつってもね、「スーパー・ストレンジ・グループ」と言っていいでしょうね、「マライア」はね。
この作品、実はですね…「マライア」の面子が…話わかんなかったら、ごめんなさいね。今回話がサクサクいくんでね。詳しい説明してる暇がありませんが…「マライア」の面子が全員参加した最後の作品としても知られています。
清野由美さんという方のバックを演っているわけですけども。これ、非常に変わった…ヴィンテージ’83ですね、1年逸れてるわけですが、その中でアーバン・レゲエナンバーという風合いの曲です。「真夜中の電話」。
「真夜中の電話」って曲もありましたよね、いっぱいね。はい。でも清野由美の「真夜中の電話」を知ってる人は少ない!というね。それでは早速最終コーナー回りましょう。
菊地成孔の粋な夜電波」、本日は「シティポップ・AOR特集」です。

CONTINENTAL

CONTINENTAL

(曲)

はい、清野由美さんの「真夜中の電話」をお聞きいただいております。「真夜中の電話、私は好き。」っつってますけどね。
先ほどの間宮貴子さんもそうですけども、清野由美さんも「ミッシング・ディーヴァ」と呼ばれてる方、たくさんいますから。秋本薫さんもそうですね。
電話ください!…番組聴いたら(笑)。真夜中で結構ですんで。真夜中のほうがいい。「真夜中の電話、ワタシも好き!」って感じですけどね(笑)。はい。
これ、お聞きになっててわかると思うんですけども、この当時ってのはジャズ・フュージョンの考え方から、普通のポップス…それまでのロック・ポップスの流れから、転調ってものをいかに上手くやるか…アクロバティックに転調して上手く決めるか…っていうことを、みんなで楽しく競ってたようなところがあるんですよね。
ところがそこに、もう大リーガー級のとんでもない人が入って来て、「転調っていうものはこうやってやるんだ!」っていうことで、転調の名曲を次々出したもんで、なんとなく皆んな、そのゲームやめちゃった…っていうね。
そういうアンファン・テリブル…っていうか、ヤバい人が一人出てくるもんなんですけど、その転調の天才…AORの転調に関して物凄い技巧を誇り、なんとなく皆んなが楽しんでいた転調のゲームを終わらせてしまった人は誰でしょうか?…坂本龍一さんですねえ(笑)。
はい、では次の曲ですけども。はい、こちらどうぞ。
はい、これ…吉田政美さんの「オレンジ・シティの朝」というタイトルの曲です。何で?…どういう出自でしょうか。
これ実は吉田政美さん…さだまさしさんとのフォーク・デュオ「グレープ」の片割れの方です。
さださんが目指していた音楽とは全く真逆ですね(笑)。
はい、村上ポンタ秀一林立夫さん、後藤次利さん、高水健司さん、渋井博さん、斎藤ノブさん、浜口茂外也さん、矢野顕子さんも参加しております。
アルバム「My Tune, My Turn」より「オレンジ・シティの朝」。
My tune, My turn

My tune, My turn

(曲)

はい、なんと今日用意してきた曲のうちから3曲カットすることになってしまいました。
この3曲に関しては…まあ、番組が継続しますので…紹介していきたいと思いますが。
本日最後の曲となります。
我々は「DA.YO.NE」という曲を知ってると思いますね。「ダ・ヨ・ネ」…EAST END × YURIさんですね。「DA.YO.NE」。
この「DA.YO.NE」より約20年早く(笑)…「だよね」という曲が日本でドロップされていました。
今日はその曲を最後にお別れしたいと思います。なんと、タレントは「ピラニア軍団」。
ピラニア軍団」のアルバム「ピラニア軍団」より「だよね」という曲を今からプレイします。
そしてアレンジは、先ほど…「全国で行われていたこのゲームを収束させた男」、坂本龍一のアレンジによりますものです。
(中略)
坂本龍一さんの77年とは思えないクオリティのアレンジですね。演歌のメロディにとんでもない調のバックトラックが付いております。
今のヒップホップのクリエイターなども聞くべきアルバムではないかと思います。
ピラニア軍団

ピラニア軍団