「漢さんと新宿について語る。」

「粋な夜電波」第309回は、人気企画「ホーリー・ヒップ・ホップ・アワー(4H)」。多忙のMoeさんに代わって、MC漢 a.k.a. GAMIさんをゲストに迎えて、OMSBと3人で現在のヒップホップシーンについて語り合われました。
トークの一部を文字起こししてみました。

ヒップホップ・ドリーム

ヒップホップ・ドリーム

 (ゴホン!)
N/K はい、「菊地成孔の〜」(笑)…今…
 失礼しました。
N/K 大丈夫です。CM明けと同時に、漢さんの咳が入りましたけどね。
OMSB (笑)。
N/K はい、流石でございますけども。「菊地成孔の粋な夜電波」、ジャズミュージシャンの菊地成孔TBSラジオをキーステーションに全国にお送りしております。今週は、たった今…そうですね…BIG咳をしていただいたMC漢さんと、SIMI LABのOMSB’Eatsをお迎えしての「4H(Holy Hip-Hop Hour)」です。後半もよろしくお願いします。
OMSB よろしくお願いします。


(中略)


(メールを読んで)
N/K これって…あ、中学か。中学ねえ…
 それ(中学校の選択科目に「ヒップホップ・ダンス」があって、ヒップホップが学校で教えられるという事について)なんですけど、これ2年ぐらい…3年ぐらい前からの話ですよね。
N/K そうですね。
 この…国でいちおう正式に…何つーんすか、義務教育で「ヒップホップ・ダンスを教えます。」っていう。これ何なんですかね?
N/K いや、何でしょうね。
OMSB いきなりですよね。
 いや…だから、そういう世代に突入しただけだと思うんですよね、僕は。ヒップホップとかダンスが好きな人が、そういう年をとって偉くなって、そういう近場の人に入って、そういう「ダンスさせようよ。」とか。
OMSB はいはいはい。
 ただそのレベルじゃないかと思うんですけどね。なんか狙いがあります?…だってヒップホップ・ダンスやって。
OMSB 確かに(笑)。
N/K ねえ?…まあ、レゲエ・ダンスってわけにいかないから(笑)とか、そういう事もあるだろうけどね。
OMSB (笑)。
N/K ジャズダンスってのも、ちょっと現実的じゃないからね。
 必修みたいなやつですよね、だって。
N/K 必修ですね。
OMSB 必修…そこが不思議っちゃ不思議ですよね。
N/K やっぱ何て言うか…他の国のダンスカルチャー…ユースが普通に踊るっていうのに比べて、著しく遅れてるっていうのもあるのかもしれないですね。
OMSB ああ〜。
N/K 日本人ってね、このメールにもあったけど「日常的にダンスを踊らない国民、世界1位」なんですよ。
 そうでしょうね。
OMSB ああ〜。
N/K もう他の国の人とかって、なんか…世界中で演奏してて分かるけど、普通に踊りますよね。
OMSB うんうん。
N/K なんてことない、それが当たり前だという感じで。
OMSB なんもないとこっていうか、BGMがかかればノッちゃうし…みたいな。
N/K …かかれば踊る。
 うん、うん。
N/K キューバの人なんか、車が走ると踊ってるからね。
OMSB (笑)。
 我々の遺伝子で持ってるのは…落ち着いているんだと思います。
N/K ガラパゴスですよね。
 遺伝子が。
OMSB (笑)。
N/K なんか今…ミドルスパンぐらいの動きありますよね。ブラスバンドってあったでしょ?…あるでしょ、今も。吹奏楽
 はい。
N/K あれもね、ある年から全部ジャズになったの。
 ええっ?
N/K うん。だから今ビッグバンド部…ジャズのビッグバンド部って言い換えてもいいかもしんないぐらい
 ほぼジャズなんですか。
N/K 昔ジャズなんか演んなかったですよ。
OMSB ええ〜っ。
N/K だいたいクラシックを吹奏楽にアレンジしたやつとか、あと吹奏楽用の曲とかね。
 それ何年ぐらい前までですか?
N/K それは…そうですね、「スウィングガールズ」って映画がずいぶん前にあって。
 へえ〜。
N/K あのあたりからビッグバンド…要するにジャズが毒抜きされた。ま、毒抜きの話です、結局。デドックスっちゅうか。
 うんうんうん。
N/K 「ジャズは悪ぃ音楽だ」っていうのが、ずーっとあったんだけど。
 はいはいはい。
N/K ま、実際ね…ロックもジャズもヒップホップも「悪ぃもんだ。」っていうのから始まって、「いや、悪くない。」ってなって。ま、ロックはまだ悪さ加減が残ってるとこあるけど、ジャズは早々と…やっぱ学校でお勉強しないとできないから。
 オシャレなイメージすらあるけどね、ジャズって。
OMSB そうっスね。
 なんかヒップホップじゃないけど、共通する…なんか歴史とかを聞いてると、いろんな黒さも見えてくるっていう。
OMSB そうですね。
N/K そのうち多分ね…今んとこダンスだけだけど、ラップとかもそういう事になって。
 ああ〜。
N/K 「ちゃんと日々考えてる事を、ライムして、フロウして、まとめましょう。」って(笑)。
 なりますよね、でも。
N/K ね?(笑)。
 なんなきゃいけないですよね。ダンスを投入して…ジャズも投入してるなら。学校に。
OMSB ま、頭の回転良くなりそうですけどね。
N/K 頭の回転良くなるだろうね。
 マイナスは無いんだよね、これ。受けるのが。マイナスは無いですよね、このダンスもジャズも…この音楽やることも、多分ラップやることも。時間があれば。
N/K うん。とまあ、そんな…もう今、リスナー…特に鎖ファンは今か今かと待ち受けていると思いますが、漢さんから一曲。
 はい。
N/K いってみますかね。これ…「新宿ストリート・ドリーム」。はい。これ感動するよね。これ一回ステージで一緒にやらせていただきましたけど。
 はい。ありがとうございました。
N/K はい、じゃあ御堪能ください。ま、そうだな…だから今の話の流れじゃないけど、日曜8時だと、この番組…数字的に全国ネットしてるんで、何十万人か何百万人か聞いてるんですよ。
 はい。
N/K ほんとはまだ…ヒップホップの「ヒ」の字もない…まだまだ「ラップってのは…」、何つったらいいのかね…「犯罪者がやってる」ぐらいのイメージの人が…
OMSB (笑)。
N/K いっぱいいると思う。田舎のおじいさんとかおばあさんとかね。
 ええ、ええ。
N/K そういう人に聞いていただきたいですね。MC漢で「新宿ストリート・ドリーム」。


(曲)

新宿ストリート・ドリーム

新宿ストリート・ドリーム

N/K はい、MC漢で「新宿ストリート・ドリーム」でした。
OMSB イエ〜!
N/K すごいですね、これ。
OMSB いいッスね。
N/K 胸に迫るものがあるよね。
OMSB あるッスね。
N/K 「新宿の話だけ、二人でしてくれよ。」っていう企画が、どっかから来るんだと思ってたけど、全然来ないですね。
 はい。届いて来ないですね(笑)。
N/K 全然来ないね(笑)。
OMSB (笑)。
N/K あの…「ヒップホップ・ドリーム」読んじゃうと、漢さん生まれた時から…最初、高田馬場でしたっけ。
 はい、そうです。
N/K それからずっと新宿にね。で、僕2004年から…まあまあ、元々それこそ新宿は前衛ジャズから…オーバーグラウンダーからアンダーグラウンダーまで、ジャズと現代音楽の聖地でもあったんで…
 はい。
N/K ま、通いは通ってましたけど、実際住んで暮らしたのは2004年からなんで。まだ13年とか、そのぐらいですけど。
 うんうん。
N/K その間でも、だいぶ変わりましたよねえ。
 変わりましたね。ほんとに変わりました、すごい。
N/K 変わったですよね。
 はい。2004年ぐらいまでだったら、まだこう…ちょっとした無法チックな…ワーワーワーワーやってても大丈夫そうな雰囲気が多々あるっていうか。今よりは。
N/K そうですね。
 うん。まあ、でも…変わりますよね。
N/K 変わりますよね、うん。ま、それこそ「ヒップホップ・ドリーム」に見事に活写されてるんだけど、昔は大久保通りってのはマルチカルチャーだったよね。
 そうです。
N/K それが完全にリトル・コリアになっちゃって。
OMSB はい。
N/K あれ、オレ調べたんだけど、手打ちがあるんだよね。韓国の海外渡航法と日本の入管法がウインウインで、同じ年にクラッチしてるんですよ、あれ。
 うんうん。あー、なるほど。
N/K んで、来やすくするようになってて。
OMSB あー。
 そうですね。元々ただ…リトル・コリアって今は言うけど、別に在日の韓国人の人の街でもないんですよね。新宿は。
N/K そうそう。
OMSB へえ〜。あ、そうなんですね。
 むしろ少なかった。うん。
N/K だから逆に言うと、根無し草っつーか、ほんとの最近は半島の人より大陸の人のほうが多いですよね。
 多いです。歩いてても。歩いてると確実に多いですよね。はい。
OMSB ふーん。
N/K アパホテルが建っちゃって、そこに大陸の人泊まってるからさ。
OMSB はいはいはい。
N/K もう要するに…何つったらいいの…オセロゲームみたいに、角取られるとバーッと一気に乗っ取られちゃうようなリトル・コリアなんですよ。
 そうですね。なんかある意味で言ったら、平成になって今…ま、昭和ってある意味「見て見ぬふり文化」もあったじゃないですか。
N/K 完全にそうですね。
 あのいろんな…犯罪って意味ではなく、「えっ、それ有りだったの?」って、今だったら思う事たくさんあるじゃないですか。いろんな面で。
N/K たくさんありますよね。
OMSB うん、うん。
 なんで…そういう雰囲気がもう今無いじゃないですか、街に。
N/K ま、インターネット以降は無いですよね。
 なんで、そういう中では…やっぱ広まりやすいんですかね、隙間というか…ああいう街も含め。ああいう場所に目を付けた…早かったですもん、だって。
N/K そうですね。
 はい。一気に。
N/K ですよね。「どこら辺までを新宿とするか?」っていうのも、いろいろ人によって違うと思うんですけど。
 そうですね。
N/K 例えば、「もう東新宿は新宿じゃない。」とかさ。
 うん。
N/K あれは東新宿って言ってるけど、渋谷区ですからね。「違う!」とかいろんな事言うけど(笑)。
 ま、でも言っても歌舞伎町…ま、歌舞伎町はそうだけど、歌舞伎町だったり西新宿の高層ビルを中心に、半径2キロぐらいは新宿って言ってもいいかなっていう距離感ではあるんですけどね。
N/K そうですね。
 ただ渋谷方面に向かって、甲州街道に2キロって言ったら、渋谷に着いてますからね。
N/K 着いてますもんね(笑)。だから意外とひしめき合ってるんだけど。
 狭いですもんね。
N/K あと地面がフラットですよね。
 うんうん。
N/K 渋谷行くと坂ができるから、サンフランシスコとかロス…西海岸っぽくなるけど、ニューヨークぽいですよね。全部フラットで。
 そうですね。
OMSB ああ〜。
N/K 「スクエア越えると違う言葉聞こえてくるんだ。」みたいな。
 ええ。
N/K ただ、まあ…ずーっと昔からありますからね。「青龍刀事件」とか、あの時期からね。
 そうですね(笑)。
N/K 半島の人たちと大陸の人たちのあれは。
 すごいですよね(笑)。
N/K すごいですよね、ほんとにね(笑)。
OMSB (笑)。
N/K 今もう銀座行っても大陸の人ばっかりですもんね。
 別にそこに関しては何もないんですけど…
N/K ないんだけどね、うん。
 本当にここ…俺らのほうが少なくないか?って感じですよ。街歩いてて。
OMSB ああ〜。
N/K ほんと。
 言葉も含め。雰囲気も。
N/K あのね、フランス人の友達とかに聞くと、特に年寄りに聞くと、パリがやっぱそうで。
 へえ〜。
N/K 60年代になると、日本だとジャルパックとかさ。「ジャルパック」ってオムス知らないでしょ?(笑)。
OMSB いや、わかんないッス。
N/K 何の事かわかんないでしょ。農協旅行とか知らないでしょうね。
OMSB わかんないです。
 (笑)。
N/K 要するに、日本人の団体がカメラ提げてね、眼鏡かけた人たちがバーッとまとめて外国に行くってのが始まる時期があったの。
 うんうん。行きましたねえ。
N/K 兼高かおる世界の旅」って番組があって(笑)。
OMSB (笑)。
N/K それで、パリって街はさ、フランス人よりフランス人じゃない人が多くなっちゃって、基本的に。
OMSB はいはい。
N/K さて、ビストロとかどうすんの?…教会とかどうすんの?ってなった時に、パリがとった態度っていうのがあって。
 うんうん。
N/K ま、それは…観光客に「観光客のお国の言葉のメニューがありますよ。」っていうことで、ある店に全部…ゴキブリホイホイみたいにさ。
 ええ〜っ。
N/K 観光食堂っつーんだけど。
OMSB はいはい。
N/K そこに詰め込んじゃって。はたから見ると判んないんだよ。
 ああ〜。
N/K パリはめっちゃくちゃ意地悪ぃから。京都に似てて二枚舌なんだよね。
OMSB (笑)。
N/K だから表から見ると判んないの。だけど、もうパリの奴らは知ってるって。「あそこは観光客が行く所だからさ。」って、土地の人間は行かないっていうふうにして。
 なるほど、なるほど。
N/K で、観光客には判んないっていうふうに詰め込んだんだけど、あんな意地の悪い事、絶対日本人しないよ。
OMSB (笑)。
 そういうのはしないですよね。
N/K しないですよね。だから…どうやって捌いて行くのかな?ってのはホントに。トイレ見ると判るんだよね。トイレの使い方違うから。
 うん。そうなんですよね。
N/K 「うわ〜、やっちゃった〜。」っていう…銀座の…名前出さないけど、銀座の有名な地上波でバンバン特集されてるようなトイレ行くとドカーン!ってなってたりして(笑)。
OMSB (笑)。
N/K あらゆることがはっきり言えないんだけど(笑)。
OMSB ああ〜。
N/K まあ、バレバレで。で、店の人もちょっと疲れてるんだよね。大陸の人疲れしちゃって。あの人たちパワフルだからね。接客も疲れるんだと思いますけどね。
 それですよ。
N/K まあまあ…話は尽きないですけどね。面白いな、これ。またやりたいですね。
OMSB だいぶ面白いッス。
N/K だいぶ面白い(笑)。

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