「青春の殺人者」
- 出版社/メーカー: パイオニアLDC
- 発売日: 2001/11/22
- メディア: DVD
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なんとなくふと思い立って、長谷川和彦監督の長編デビュー作…つまり2本のうちの1本「青春の殺人者」をDVDで観た。
もう片方の「太陽を盗んだ男」は言わずとしれた日本映画の金字塔で、数年前に観て衝撃を受けて以来、何度か観直したりしている、かなり好きな作品。
「青春の殺人者」も絶対面白いに決まってるから、いずれ観なければと思ってはいたが、今さらになって観ることに。
…いやあ、やっぱりすごいね、ゴジ監督。
この監督が2本しか撮れていないのは、日本映画界にとってもの凄く大きな損失だと思うが、この強烈なインパクトのある2本を残して、その後沈黙を続けている(沈黙?…Twitterとかやってるかw。映画監督として現場から遠ざかっているという意味で。)だけで大仰に伝説化したり、いまもなお新作を待ち望むというのは、ちょっと違うような気もする。
この「青春の殺人者」を観て、すぐに連想したのは、園子温監督作品のことだ。
自分は昨年2月に「冷たい熱帯魚」を観て、その時受けた衝撃が大きくて、そこから火が点いたように映画を数多く観るようになった、にわか映画好きなのだが、その後「恋の罪」「ヒミズ」と新作公開を逃さないのはもちろん、過去の園作品も数本観ていて、作品によってトーンは異なるものの、愛憎入り交じった感情や行き場のない暴力性、狂信的な妄想による現実との乖離を表現する時のその過剰さに強く心を揺さぶられてきた。
同じテーマを扱った作品が多数あったとしても、「ここまでやるか!」と思わせるほどの過剰さで圧倒させられるのは、やはり監督の強烈な個性によるものだと思う。
長谷川和彦監督はその過剰さを最大の武器に映画を作った人の先駆けだろう。
「太陽を盗んだ男」のような荒唐無稽なストーリー展開こそないが、「親殺し」というヘビーなテーマを取り上げ、若者の危険な魅力満載で、エッジの立った作品になっている。
観ていて、「すげ〜、園子温監督がやってることがすでに40年近く前にやれてんじゃん!」という感想を持った。
もちろん現在の映画に比べれば、スピード感や手数(展開の多さ)に物足りなさを感じるかもしれない。
特に後半は、もうひとヤマくるかと思ったらそのままダラダラして終わってしまうので、観終えた後にいまひとつすっきりしない感情が残る。
しかし自分も多少はあの70年代の殺伐とした雰囲気は覚えているし、空回りの多い青春期の虚しさもわかるので、あの時代の空気をすごくよく反映した作品なのだろうと思う。
役者の演技も、とても上手いとは言えないが、強く印象に残る。
若かりし頃の水谷豊は超クールだし、原田美枝子はスーパーチャーミングだ。そして市原悦子のなんとも居心地の悪い思いをさせる恐ろしさ…。
やっぱり後々まで観続けられ、その魅力について語り続けられる作品が、1976年の時点で完成されていたことは凄い。
その三年後に「太陽を盗んだ男」を発表するのだから…伝説の映画監督になっても当然か。
- アーティスト: サントラ,ゴダイゴ
- 出版社/メーカー: G-matics
- 発売日: 2010/11/24
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なんか70年代の空気感に触れるとクセになりそうだなあ。松田優作やショーケンとか、あんまり詳しくないのだが、あの辺りの作品も観ていきたいし、SHOGUNやらクリエーションやらが無性に聴きたくなってきた。
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